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「馬鹿野郎、ちゃんと前を見ろカルマ」
「………お父さん、」
周りを見れば、先程の子供も含めた全員が平伏していた。
目の前には、長く、蒼い髪を一つに束ねた長身の男の人が居た。上等な着物を着ていて、その頭には一対の大きな角がある。後ろに大勢の者を従えて歩く姿には大層な風格があった。
冥界の王、クシャトリヤ。
そして、僕のお父さん。
顔を俯けた。実の父だが、多分お父さんは僕の事が好きではない。それは、今までの10年間を生きていて大体予想できた。今だって、僕の方を見ようとしないのだ。
だから、お父さんの次の言葉がすぐには信じられなかった。
「…行くぞ。お前も来い、カルマ」
周りがざわめいた。無論、驚きでだ。僕だって何も言えないほどびっくりしていた。俯けていた顔を勢いよく上げる。
目線を上げると、真っ直ぐに僕の方を見ているお父さんと目があった。
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