撃鉄のブルース~序章~

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暗い闇に包まれた街に、一軒の家があった。 「おやすみ」 二歳になる我が子を寝かせるナリア、 「今日はやけに障気が多いな」 そう妻に呼びかけながらカシムが入ってきた。 「そうね…」 どこにでもある普通な家庭、 の、はずだった。 ドン!! 急に開け放たれたドアの先に、 赤い瞳の男が立っていた。 「ナリアっ、子供を連れて逃げろ!!」 ナリアは、泣いている我が子を連れて、裏口から飛び出して行った。 「邪魔をするな人間」 赤い瞳の男が、低い響く声で言った。 カシムは、男の障気に気圧されながらも言った、 「貴様、十二神将か、なにをしにきた!」 「子供を渡してもらいに来ただけだ、抵抗しなければお前とあの女に危害を加えることはない」 聞き終わる前にカシムは殴り掛かっていた、 「うおぉぉ!」 ドン!! カシムは力なく膝から崩れ落ちていった。 「ハァ、ハァ」 分け入るように、ただやみくもに、暗い路地をナリアは、走っていた。 その手には我が子を抱いて、、 しまった、 行き止まりに出てしまっていた。 振り返ると、赤い瞳の男が立っていた。 「子供を渡せ」 「いや、来ないで、化け物!」 「うるさい人間だ」 シュン、、 ナリアの頭はもうそこには無かった。 泣き叫ぶ子供を男は抱いていた 「これで、、、なっ!?」 カッ! 突然の光で辺りは真っ白になり、光がおさまった頃、男はそこにはおらず子供が残されていた。 「遅かったか」 白い衣に身を包んだ老人が、子供を抱き抱えたのだった。
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