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「好きなの?」
「っていうか、彼氏だったら自慢できんじゃん! 超格好良いし~」
「よく喋るの?」
「全然だよ! ってか、なに? もしかして柚堵(ユト)も好きなの?」
愛里は興味に満ち溢れた顔をする。黙って横に首を振って、ごめんねと付け加えた。
きっと、愛里の玲紀に対する感情は「憧れ」。憧れと好きは、似てるようでぜんぜん違う。なのに、それをひとくくりにするなんて、馬鹿げてる。
それに、まるでブランドかなにかみたいに男子の話をする中学三年生なんて、ちょっと笑える。
一人で思って、ふと笑みがこぼれた。
「宮里。早く席に着け。総合、始めるぞ」
先生の言葉に驚いて周りを見ると、立っているのは愛里だけ。少し嫌そうに顔をゆがめて、直ぐに愛里は席についた。
「今日は、修学旅行委員を決める。男女一名ずつな。んじゃ、立候補はいるか?」
先生が、じとっと皆を見つめる。……そんなの、居るわけ無いのに。面倒なことなんて、やりたくないに、決まってる。
「いねーな。じゃあ俺が決める。もう立候補はなしな。んじゃあ……、男子はー……
玲紀。お前やれ」
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