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………あれ?
「まつ…白虎。怒ってないの…?」
「は?何のこと?」
「だって和が…あ!」
まさかと思って和を見ると、んふふって笑って「どうかしましたか?」だって。
いつもだけど…また騙されたぁ~!
「神子様はいいけど、玄武!おまえトイレ長ぇんだよ!」
「ウヒャウヒャッ。ごめんごめん。でもさ、リーダー連れてきたからいいでしょ?マツジュン?」
雅ちゃんは、いつもオイラ達のことをあだ名で呼ぶんだ。
最初の頃は、翔悟くんとか和とかに怒られてたけど、結局治らなくて、今ではそれが雅ちゃんらしさだと思ってる。
因みにこの部屋は、【アラシ国】とこの屋敷の結界――つまり、『聖域』の結界のコントロールをする部屋。
―――オイラ達はこの部屋のことを『羽音(ういん)』って呼ぶんだけど…あ。意味は特にないよ?――常に誰かがこの部屋にいて、結界を張り続けなければならない。
今は翔悟くんが担当みたい。胡坐をかいて印を結んでる。
魔が現われでもしない限りは、誰かがこの体制でいなきゃならない。
魔を感知するのも、コントローラーの役目。
この作業は生命(いのち)を削る。
オイラ達は神子と守護神だから、力を使ってもそんなに急激に生命を削られることは無いけど、その辺にいるようなお坊さんとか巫女さんとかがこの作業をすると、身体が保たなくて、最悪の場合は死に至るらしい。
でもオイラなら…オイラ達なら、殆ど生命を削ることなくこの作業が出来る。
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