星屑

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この役は古来から伝わったもので、先代が亡くなると、【アラシ国】の中で五人が力に目覚める。 そして、目覚めてしまった五人は、強制的にこの屋敷へ連れてこられて、結界を張り続けることと魔を退治することが義務づけられて、生涯をそのために生きることになる。 寿命だって、『聖域』にいる影響なのか、普通の人よりも長くなっちゃうし、何でか知らないけど、容姿も変わらない。 ここに来た時のまま。 その選ばれてしまった今の五人が、 東方の青龍―新野和黄。 西方の白虎―茉原潤哉。 南方の朱雀―神山翔悟。 北方の玄武―相羽将兎。 そして四守護神の頂点。 神子が、オイラ。青桐聡。 【アラシ国】の人は、神子と四守護神を『神風』って呼ぶけど、オイラ達は自分たちのことを、『神風』じゃなくて『花嵐』って呼んでる。 他の『神風』との区別をつけたかったから。…っていうのは建て前で、本当は、相羽ちゃんが「カッコよさそう!」って言ったから。 でも…こんな役、ハッキリ言えば選ばれたくなんかなかった。 みんなそれぞれ、大切な家族や友達や、中には恋人まで置いてきた人もいる。 戻れない、宿命。 「…ねぇ、雅ちゃんみたいに名前で呼ぼうよ。みんなも」 「どうしたんだよ、イキナリ」 「なんとなく…だけどね」 「そうだなぁ…。俺らの寿命も、長くてもあと一,二年だからな…」 マツジュンはそう言って、少しだけ目を伏せた。 そう。 百年近く前に役に選ばれたオイラ達の寿命――つまりは任期は、『長くても』あと一、二年。 みんな、死ぬのなんか恐くない。 強制的にここに連れてこられて、百年もこんな隔離された空間にいて。 もうとっくの昔に、親しい人たちはみんな死んでしまって。 これで死ぬのが恐いなんて言ったら、笑っちゃうよ。 .
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