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「んあ~。疲れたぁ…」
神経を集中させていた翔悟くんが、集中を解いて横になった。
「翔悟くん。お疲れ様」
「ありがとう、聡くん」
「ねぇマツジュン~。オレ腹減った~」
「あ。俺も朝ご飯まだなんです」
「オイラも~」
「おい!なんで俺が飯作らなきゃいけねぇんだよ」
「いいじゃん。作ってよ、マツジュン♪」
百年間変わらない五人の関係。やりとり。
「しょうがねぇな。作ってやるから、縁側にでも座ってて」
「は~い♪」
離れたくないな。この、輪の中から…。
その後マツジュンは、おにぎりを作ってくれた。
マツジュンの作ってくれるご飯は、なんでもおいしい。もうオイラ達の料理当番みたい。
「あ、梅だ。俺しゃけの方ががよかったです~」
「文句言うなら食うなよ」
「あ~っ。嘘ですよ、嘘っ。ちゃんと食べますからぁ。返してくださいよ、潤くん~」
和は、たまに…っていうか、いっつも敬語で話す。
最初はなんだかよそよそしかったけど、もう癖なんだって。
「うまっ!ちょ、これマキシマム旨いんだけど!」
「翔さん、それもう古いですって」
「マジ?」
翔悟くんは、五人の中で一番頭がいい。
頭のいい学校出たんだって。
でもヘタレ。本人は認めてないけど。
あとは…高所恐怖症だね。
だから、この『聖域』に来た時は、めっちゃ騒いでたっけ。
あ、そういえばね、『聖域』って空にあるんだよ。
魔が現れた時だけ地上に降りるの。
だから翔悟くんは、極力下を見ないことにしてる。
「やっぱマツジュンの作ったご飯は旨いね♪唐揚げには負けるけど。ウヒャヒャッ」
今も言ってたけど、雅ちゃんは極度の唐揚げ好き。
そういえばいつだったか「鳥になりたい」とか言ってたっけ。
いつもテンションが高くて、こんな、他に誰もいない空間の中でオイラ達を盛り上げてくれる。
「あ。なぁリーダー。このおにぎりの具、初めてやってみたんだけど、味見してくんない?」
「ん~?いいよぉ」
オイラは…普通だよ?
大して特徴もないし。
「うん、うめぇ」
「でもキャプテンが良くても、俺らがダメだったらしょうがないじゃないですか」
「あ~…そうかもな」
「うめぇな、コレ…」
よく味音痴って言われるけど…オイラはそんなことないと思うなぁ…。
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