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〔朱雀〕
何とか聡くんを説得して地上に降りて、二人の姿を見つけた瞬間に、実はさっきから押さえてきた怒りが一気に表に出た。
「白虎!青龍!」
そのお陰で…まあ人前だからってものあるけど、二人を名前では呼ばなかった。
そのままつかつか二人に寄っていく。
「しょ…朱雀……」
「何やってんだ、お前ら!」
「何って言われても…」
「そんな殺気丸出しにして一般人に武器を向ける『神風』がいるか!」
「し、翔ちゃん…こわ…」
未だに白虎と青龍の武器が向いているのは、二人の正面にいる盗賊だと思われる男性二人。
「……」
「…」
「はぁ…。とりあえず武器を下ろせ」
呆れた声を出してそう言うと、二人とも渋々といった様子で構えていた武器を下ろした。
それを確認してから、今出来る限りの作り笑いで、
「すいませんね、俺の仲間が。お詫びの代わりに、少しだけ治療させてください」
少し力を使って軽い治療を施した。まだ小さな痣や傷が出来てるくらいで、消耗も少なく済んだ。
「終了です。本当にすいませんね。…ただ、あまり盗賊やってるのは好ましくないと思いますよ」
やんわりと言ったつもりだったんだけど、二人は青い顔をして走って逃げてしまった。
「……」
「…」
黙って少し拗ねた様子の青龍と白虎。
「白虎。青龍」
「…はぁ。…なんですか、朱雀」
「わかってるよ。あいつ等に手を上げたことだろ?」
「わかってんじゃねぇかよ」
「そりゃ、ね」
しれっと言ってのける。…反省してんのか?
「自分のやったこと、本当にちゃんとわかってんだよな?」
「はい」
「もちろん」
プツッ。となんかが切れた。
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