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『羽音』に着くと、もうオイラ以外の四人は集まっていて、魔が現れた正確な位置とか、作戦とか、役割分担とかを決め始めていた。
「今回はどの辺?」
「西方の郊外です。数は、正確には六。ランクはCランク。三人いれば倒せると思いますよ」
「じゃあ、俺と相羽ちゃんと和で行こう」
「オイラも行くよっ」
「キャプテンは、ここで翔さんと待っていてください。Cランクの奴らですから、俺ら三人だけで大丈夫ですよ」
「でも……」
オイラはまだ引き下がらなかった。
でも、和は笑って言ったんだ。「大丈夫です」って。
マツジュンと雅ちゃんも、大丈夫って言って、笑ってた。
翔悟くんの方を見たら、心配そうに微笑みながらオイラの肩に手を置いた。
「……わかった。ここで待ってる。でもね?一つだけ条件」
「何?」
「死んだら許さない」
そう言ったら、三人は一瞬驚いたみたいだけど、すぐにニヤって笑って、
「当たり前だろ」
って言った。
「それならいいよ。…いってらっしゃい」
「いってきます」
笑顔で手を振って【アラシ国】へ向かう三人を、オイラと翔くんは見送った。
“死んだら許さない”
初めて言ったな…あんな言葉。もうオイラも年なのかなぁ……って、百歳超えてるんだっけ、本当は。
「さて、俺らは俺らの仕事をしよっか聡くん」
「うん」
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