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〔神子〕
マツジュンたちが、背中合わせに何か話してる。
……まさか!
「翔悟くん!あの三人、もしかして…」
「あぁ…力、使う気だな」
「そんな…あの数相手に力なんか使ったら…」
三人とも危ない…。
オイラは地上へ降りる通路へ駆け出した。
…瞬間、翔悟くんに腕を掴まれた。
「聡くん!どこ行く気だよ!」
「決まってんでしょ?みんなを助けにだよ!」
「ダメだ」
「どうして?魔はオイラの力を狙ってるんだよ?オイラが行けば…全部片付くでしょ?」
「それでもダメ。前にも言ったけど、神子さまが『聖域』を離れてどうするの。そんなことは、俺が…みんなが喜ばない。ましてや今は魔がいるんだから。
……それに…着いた時には全部終わってるよ」
「え…?」
急いで地上を見たら、土が壁を作っているところだった。
それからすぐに、その中には水が溜まって、電気が走った。
「みんな……ッッ」
翔悟くんの腕を振り払って、制止の声も無視して、地上へ向かった。
オイラが着いた時は、ちょうど三人の体が地面に着こうかというところだった。
「和!雅ちゃん!マツジュン!」
和たちの体が地面に着く直前に、ちょっとだけ力を使って受け止めて、そのままゆっくり地面におろした。
「和…雅ちゃん…マツジュン…」
オイラが…もっと早く来ていたら…。
頬に涙が伝った。
「ごめ…ごめ、ね……オイラが…早く来てれば…」
「聡くんのせいじゃないよ」
「翔悟くん…」
振り返ったら、そこには翔悟くんがいた。
「でも…」
「大丈夫だって。三人とも生きてるんだろ?だからさ、早く連れて帰って治療してやんなきゃ」
な?と言って、翔悟くんは笑ってた。
「…うん。そうだね」
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