横顔

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翔悟くんと協力して、どうにか三人を『聖域』に連れて帰ってきた。 布団に寝かせて、傷とか体力の状態を確認する。 治療はオイラの役目。 簡単な回復はみんな出来るけど、それ以上はオイラしかできないから。 「どう?みんなの具合は」 襖を開けて、翔悟くんが部屋に入ってきた。 「うん、大丈夫みたい。みんな結構タフだからね」 「…だな」 「……」 「……」 黙っちゃった…。 どうしよう。何を言えばいいんだろ…。 えぇっと、えぇっと…。 「聡くん」 沈黙を破ったのは翔悟くんだった。 「え?何?」 ビックリして、オイラの声は裏返っていた。 「なんか…ごめん」 「…オイラも。ごめんなさい」 「うん…」 「……」 また沈黙。 破ったのは、マツジュン。 「ん…」 「マツジュン?!」 「…あ、翔くん。リーダーも。…心配…掛けた、よな。ごめん」 起き上がったと思ったら、オイラと翔くんに頭を下げた。 「和と相羽ちゃんはまだ起きないみたいだな」 「うん。マツジュンが一番」 マツジュンが起きても、オイラ達の間にはまだ気まずい空気が流れていた。 マツジュンにも翔悟くんにも、なんて言ったらいいのかわかんない…。 「リーダー。あんまり自分のこと責めんなよ」 「へ?」 マツジュンにイキナリ言われて、素っ頓狂な声を出してしまった。 「ほら、翔くん。結界見にいくぞ」 「あ、ちょ。マツジュン、待ってって!」 マツジュンが、翔悟くんを連れて行ってしまった。だからこの部屋にはオイラと、寝ている雅ちゃんと和の三人。 「……二人とも…お疲れ様」 聞こえてないだろうけど、二人にそう言った。 しばらくすると雅ちゃんがいびきを掻き始めて、足を和に乗っけながら寝始めたから、オイラも『羽音』に行くことにした。 「ふふ…みんな、無事みたいでよかった」 .
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