面影

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季節は冬。 この『聖域』にもいまにも初雪が降ってきそうな空になってきた。 「寒いねぇ。明日にでも雪降ってくるんじゃないの?」 「んははっ。キャプテン、最近そればっかりじゃないですか」 「確か昨日も言ってたよね、それ」 「そうだっけ?」 「そうですよ」 和と雅ちゃんと三人で、朝の冷える空気の中を『羽音』に向かっていた。   いつもと同じように笑ってはいても、なんか…最近、みんな無理してるような気がするんだ。 和や雅ちゃんだけじゃなくて、翔悟くんとか、マツジュンも…。 でもみんな、そういうの積極的に話してくれる人じゃないし・・・聞いても多分、答えてくれないんだろうな……。 寂しいけどね。 「おっはよー!みんなのアイドル、相羽ちゃんだよ~っつって☆」 「おはようございます…ッッ」 和に続いてオイラが入ろうとしたら、和にイキナリ外に出されて、「ごめんなさい」って言って襖を閉められた。 その時にチラッと見えた翔悟くんとマツジュンは、何か苦しそうな表情をしていた。 何かあったのかな翔悟くんたちに…みんなに……。 しばらくすると襖が開いて、和が中に入れてくれた。 マツジュンと翔悟くんは、いつも通りに見えた。 「おはよ。リーダー」 「聡くん、おはよう」 「あ…お、おはよ…。大丈夫、なの?」 恐る恐る聞いてみると、二人とも、「ん?何が?」って言って、結界の保持に掛かった。 やっぱり隠してる…。 オイラに、みんな何か隠し事してる……。 それが何だか、分からないけど。
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