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一瞬、肩がビクっとなった。
『リーダーには黙っておこう』
これは、俺らの体の異変に気付いた時に四人で決めたこと。
百年も生きてると…っていうとじいちゃんっぽいけど…。
でも、さすがに『聖域』にいたとしても、百年も経てば体にも何にもガタがくる。
“普通の”人間みたく、寝たきりになったりヨボヨボになって死ねればよかったんだけど…。
『神風』はそうはいかない。徐々に力が弱まってきて、ある日死ぬ。
しかも、ただ死ぬんじゃない。
存在の消滅。
だから『死ぬ』ではなく『消える』といった方が正しいのかな。
ただ、幸いにも輪廻転生の輪の中には戻れるから、またこの世に生まれてくる事は出来る。
リーダーには、みんな心配かけたくなくて、ギリギリまで黙ってることにした。
少しくらい体調が悪くても、気付かれないように振舞って、必死でバレないようにした。
そしてこれも幸いなことに、リーダーは俺たちの演技には全く気付いていないみたいだった。
「俺・・・キャプテン起こしにいってきます。相羽さん、行きましょ」
「あ、うん」
急いで『羽音』を出たけど、多分それはただ時間だったからじゃない。
現に、本人は気付かれてないと思ってるけど、和の顔は少し泣きそうだった。
「…そろそろ、初雪でも降るんじゃねぇか?」
暗い空気を変えようとしたのか、外の方を見ながら翔くんがそう言った。
「あぁ…。そうだな。そういえば翔くんさぁ……ッ翔くん!」
外に向けていた視線を翔くんに戻すと、翔くんは苦しそうな表情で冷や汗を掻きながらうずくまっていた。
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