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「翔くん、翔くん!大丈夫?翔く…ッッ…っぁ……」
ヤバイ…俺ももうそろそろ限界かな…。
俺らが苦しそうにしていると、襖が開いた。
「おっはよー!みんなのアイドル、相羽ちゃんだよ~っつって☆」
「おはようございます…ッッ」
和が床でうずくまっている俺たちに気付いて、中に入りかけていたリーダーを急いで廊下に出した。
「潤くん!翔さん!大丈夫ですか?」
「あぁ…。ッ何とか、な…」
「翔ちゃんも大丈夫?苦しそうだよ…?」
「大丈夫…。治(おさ)まってきたから…ッ」
翔くんの――多分俺もだけど――顔色が少し戻ってきた。
俺の体を支えながら、和が不意に俺らに言った。
「やっぱり…もう『限界』…ですかね…」
この部屋にいる全員が目を伏せた。
「俺らの神子サマは、まだ大丈夫みたいですけどね」
薄く笑いながら、和は続ける。
「この前の魔との戦いがこたえましたね…」
誰も、何も言わなかった。でもすぐに和が立ち上がった。
「さて。いつまでもキャプテンを待たせてもいられませんし、中に入れてもいいですよね?」
「ん?あぁ」
俺が返事をすると、襖を開けた。
「おはよ。リーダー」
「聡くん、おはよう」
「あ…お、おはよ…。大丈夫、なの?」
一瞬、『限界』が近いことをリーダーにバレたかと思って、言葉に詰まったけど、すぐに翔くんが笑顔で解した。
「ん?何が?」
動揺を隠すように、俺ら四人で結界の保持に掛かった。
俺たちの『限界』が近いから。
いついなくなっても、すぐに結界がなくならないように、少しでも結界を強くしておく必要がある。
俺らの後姿を見るリーダーの垂れた眉が、いつもより垂れていることを、俺たちは気付かなかった。
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