限界

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最近、みんないつも具合悪そうなんだ…。 時々辛そうな表情してるし。 しかもそれを、オイラに必死で隠そうとしてるから、余計に心配になるよね…。 「あ…雪…」 今日は妙に冷えると思ったら、昼前に初雪が降ってきた。 「本当ですねぇ。どおりで寒いと思いましたよ…」 「え?雪?本当だぁっ!積もんないかなぁ~♪あ、積もったらみんなで雪合戦でもしようね♪」 「いやですよ。そんなことするなら、中でゲームでもしてた方がましですって」 「え~?つまんなあいっ」 雅ちゃんがいつものように駄々をこね始めるのを、オイラ達は黙ってやらせておいた。 「飯できたよ~」 マツジュンがご飯を運んできてくれた。 あと何回…。 何回マツジュンの料理が食べられるのかなぁ…。 『限界』が近いみんなの笑顔を、あと何回見ることができるのかな。 「マツジュンのご飯は今日もうまいっ」 「ありがと。俺さ、リーダーにうまいって言ってもらえるのが一番嬉しいよ」 「ふふ。褒めすぎだよぉ」 マツジュンがオイラの頭に手を置いた。 その時マツジュンが何かをボソリと呟いたけど、よく聞き取れなかったから、そのままにして聞かないことにした。 オイラだって、もう少しこの幸せな時間(トキ)の中にいたいからさ。 .
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