限界

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―――こんなの、『花嵐』じゃないよ… そんなの…俺らだって気付いてた。 最近の俺らは、『花嵐』じゃない。 昔からいる、ただの『神風』だ。 今までの、数多くいる『神風』とは違うっていう意味で、『花嵐』なんて名前をつけたのに…。 「やっぱり…リーダーにはホントのこと、話した方がいいんじゃないですか…?」 俺がそんなことをボソッと言ったもんだから、三人の視線が一気に俺に集まった。 「あ、いや。べ、別に深い意味は無いんですけど…」 「実はさ。…俺も今、それを言おうと思って…みんなのこと呼んだんだ」 「……」 みんな、黙ってしまった。 今の今まで守り通してきたことを、百八十度変えようというのだから、まぁ…仕方ないんでしょうけど…。 「…俺は…もう少し待った方がいい気がする」 「潤くん…」 「いつ『限界』がくるかもわからないのに、今打ち明けて妙な気を遣うのは…俺は、嫌だ」 「……そう…かもしれない、ね…」 相羽さんも小さい声でそう言った。 「…やっぱり、無理…?」 翔さんにとっては勇気を持って言った言葉を、否定されてしまって、声のトーンも落ちる。 「とりあえずは…様子を見るってことにしたらどうですか?」 「と、いうと?」 「俺らの体の具合と、キャプテンの様子を見て、それからまた判断したらどうでしょう?」 打開策として、こんな案をだしてみた。 こんな空気には…今はちょっと耐えられない…。 「そいういうことなら…いいかな…」 「うん。様子を見るってことなら…なぁ」 「じゃあ、決まりですね。早くキャプテンのトコ行きましょ?あんまり放っとくと拗ねちゃいますから」 さっきより明るめに言うと、みんなのテンションも若干元に戻ったらしい。 顔に笑顔が戻ってきた。 「そうだね!リーダーって、結構寂しがりだもんね」 「いや…おまえに言われたくないだろ」 「あ~!マツジュンひっでぇ!」 .
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