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「神子さま。神子さまぁ~起きてください~」
「ん~………」
「神子さまってばぁ~」
もう…うるさいなぁ、翔悟くんってば…。
寝かせてくれたっていいじゃん。
それにオイラ、その呼び方キライ。
「聡く~ん、起きてよ~。俺がニノに怒られるからぁ」
「ハァ…しょうがないなぁ…」
「ありがとうっ、聡くん!…あ、“神子さま”」
「ハァ……」
朝っぱらから翔悟く…朱雀に起こされて、しかも神子と呼ばれて、オイラの機嫌は決してよくはなかった。
……次の瞬間までは。
「朱雀!あんた、神子サマ起こすのにどれだけ掛かってるんですか?」
スパーンと襖を開けて入ってきた、黄色の着物の彼は和…じゃなくて青龍。
「あ、いや…でも、神子さま起きたし……」
「起きても連れてこなくちゃ意味ないでしょう?」
「うぅ…結局怒られた…」
「何か言いましたか?朱雀?」
「なんでもないです…青龍」
……こうやって通り名で呼び合うことは、オイラは基本的に嫌い。
やむを得ない場合はしょうがないんだけどね?
「神子サマ、早く着替えてください。白虎がそろそろキレちゃいますから」
苦笑を浮かべながら、和は言った。
「ハハ。それはヤバイねぇ。じゃあすぐ着替えるから、先に行っててよ。朱雀、青龍」
とりあえず笑って、和と翔悟くんを部屋から出した。
そして、寝巻きから普段着の着物に着替えて、部屋から出る。
オイラの部屋から、四人の待つ部屋までは結構距離がある。
まぁ…五人しか住んでないのに無駄に広い屋敷だからね。
誰も入ってはこられない場所だし。
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