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『聖域』っていうんだって、この屋敷は。
翔悟くんが言ってた。
オイラ達が結界張ってるからね、この屋敷には。
一応国全体にも張ってるけど、そっちは…なんていうか、片手間?
あ。片手間って言っても、強度は充分だよ?
そこまでして結界を張っても、国には魔がはびこっている。
魔が現れる原因は簡単。
―――――オイラがいるから。
オイラが、この聖域にいるから。
魔はオイラの力を狙うんだ。
それからオイラを守るのが、さっきの朱雀や青龍を初めとする、四守護神の役目。
どうしてオイラ達はこんな力に目覚めちゃったんだろう……。
こんな宿命、キツすぎるよ…。
一生、この屋敷から出られないなんて…。
一生をこの国の為に生きて、生命(いのち)まで削って。
こんな腐敗した世界のために、そこまでする必要があるのだろうか……。
「ちょ、リーダー!リーダーってば!どこ行く気?」
「へ?」
ボーっと歩いてたら突然呼び止められて、後ろを振り向いたら、そこには緑色の着物を着た雅ちゃんが。
彼も四守護神の一人。通り名は玄武。
「どこって…みんなが待ってる部屋だけど…」
当然でしょ?
和に呼ばれたんだもん。
「通りすぎてるよ~って。オレ、今トイレ行って、戻るところだもん」
「マジ?…」
「うん。マジだよ~」
あっちゃ~。
マツジュンがキレ気味らしいのに…ヤバイかもなぁ。
…でも、雅ちゃんいるし…大丈夫かな。
「じゃ、行こっかリーダー」
「うん、行こぉ」
「お、おはよぉ~…」
ゆっくりと戸を開けて、中の様子を伺いながら中に入る。
えっと…マツジュンは……。
「おはよ。神子様」
こっちを振り向いた、紫色の着物を着たマツジュンは、ニコッと笑ってそう言った。
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