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花見団子が食べたくなった前鬼である。しかし、冬は始まったばかり。春はまだ遠い…。
食えないとなると、実に悲しそうな顔をするのである。役の行者が元気づけようと、ぼたもちをふるまった。お重箱5つ分食ったが、やはり元気が出ない。見かねて小角は、綱手姫に相談した。
事情をきいた姫は、にっこり笑って、鏡を取り出すと、術をかけた。鏡の向こうに満開の桜の園が映った。参りましょう!前鬼と後鬼と、役の行者は、春の園で 存分に花見の宴を楽しんだ。もちろん前鬼は、腹がくちくなるまで、花見団子を食いまくった。
帰ってくると、里にも雪が降り積もっていた。
前鬼が言った。
「小角様!白い花を敷きつめたみたいですね」
役の行者は大いに笑った。
前鬼も後鬼も、大満足であった。
とっつぱれ
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