ﾁｷﾝﾁｷﾝのﾌｨｯｼｭ&ｺｰﾗ

[ﾁｷﾝﾁｷﾝのﾌｨｯｼｭ&ｺｰﾗ]第1章

　
午後1時からのｸﾗｲｱﾝﾄへのﾌﾟﾚｾﾞﾝ準備に手間取った僕は、車で現地へ向かう。

今日のﾌﾟﾚｾﾞﾝはことのほか大事だ。
この日の為に一体何日費やしたのだろうか？
いや、時間だけではない。
関係者の努力を無にしない為にも必ず成功しなければならない。
準備は抜かりないはずだ。ﾌﾟﾚｾﾞﾝのｼﾐｭﾚｰｼｮﾝを頭の中で描いてみる。

組み立てはいつも通り。
最初は資料を配らずに、まずは提案内容の背景を説明するんだ。
人は大抵、先に資料を配ってしまうと、目の前の資料に目を奪われて、冒頭説明が耳に入らなくなってしまうからだ…。

そんなことを考えつつも、朝から何も食べていないことにはたと気付く。

空腹だ。
腹が減ってはﾅﾝﾄﾔﾗ…。
何か腹に入れておいた方が良いのか？

そんな矢先、僕の目に入ってきたのは白髭のおじさんで有名なﾌﾗｲﾄﾞﾁｷﾝのﾌｧｰｽﾄﾌｰﾄﾞのﾄﾞﾗｲﾌﾞｽﾙｰだった。

ほう、ﾌﾗｲﾄﾞﾁｷﾝのﾄﾞﾗｲﾌﾞｽﾙｰって可能なのか？
店で食べても手が油まみれになってしまうというのに。

謎めいた挑戦意欲にかられたのか、ﾄﾞﾗｲﾌﾞｽﾙｰの赤い看板に導かれるまま僕はﾊﾝﾄﾞﾙを左に切った。