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「それってどうゆう…」
てっきり、気持ち悪がられると思っていた。まさか『ありがとう』と言われるだなんて思ってもみなかった俺は、素直に質問を投げ掛けてみたのだが
「単純に、嬉しかったから」
と、
素晴らしく綺麗な笑顔で言われれば期待してしまうのは当たり前で
「あの!それじゃあ…!付き合って、くれたりしますか?」
調子に乗ったのが酷い間違いだった。
裕翔くんから返ってきた返答は思っていたものよりずっと難しく
「付き合って、どうするの?」
「へ?」
とっさに出たのは間抜けな声だった。
どうするって、何が?
「付き合って、それからどうなるの?俺たち。」
まず、どうしてそんなに涙を溜めながら喋っているのか、とかそんな疑問はどうでもよくて
「それは…、その…」
結婚が出来ないのはもちろんの事。アイドルという立場上、男同士で付き合うだなんてとんでもない。
「ねぇ、どうなるの?」
とうとう涙がこぼれてしまった裕翔くんを綺麗だな、なんて呑気に考えながら。
こんな大きな問題に今まで気付かなかった自分に呆れ、途方に暮れた。
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