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「いや、だから、それは…」
必死に発した言葉はあまりに頼りなさすぎて自分でも幻滅だ。
「付き合うとかよく分からないけど。とりあえず、無理、かな…。ごめんね。」
もうすぐバンが裕翔くんを迎えにくるだろう。その前になにか気の効いた事を言わなければと、焦ってばかりで。
「俺!ちゃんと裕翔くんの事…!」
口からでまかせしか出てこない俺は裕翔くんにとってどれだけ頼りなくて、情けないんだろう。
「ごめん…!ごめんね。」
「なんで謝るんだよ…。」
どうにか、それらしい言葉をかけたかったのだが
「ごめん…。」
謝ってばかりの裕翔くんを引き止められるような事は何ひとつ言えず。
「好きだから!裕翔くんの事が、ほんとうに…!」
精一杯の気持ちを叫んだところで、どうにもならない事を
「ごめんね。ほんとうにごめん。今日は、これで。ばいばい。」
到着したバンに乗り込んでいく裕翔くんに痛感させられた。
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