BARで

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仕事帰りの人混みの中をBARに向かって歩いていた 頭の中で、なにか退くに退けない所まできている気がしていた まだ勝は来ていなかった 「ブラックベルベットをお願いします」 Bartenderにそう告げ煙草に火をつける 勝はなにを知っているのだろう、噂って言っていたが… お待たせしました 視線をBartenderに戻す 一口飲みまた考える 新しい煙草にまた火をつけ、ゆっくりと肺に煙を吸い込む 噂ってなんなんだ…誰でも知っている都市伝説みたいな感じなのか…そこまで考えグラスを空けた 「すいません、XYZ」 二杯目を頼むと同時に勝か゛やってきた 【早かったな、モスコミュールを一つ】 「で、なんだ噂って」 【俺にも飲ませてくれよ急いできたんだ】 少しして、カクテルが運ばれてきた 勝か゛ゆっくりと口を開いた 【俺も人の噂で聞いた程度なんだが…ちょうど一ヶ月前に女性の変死体事件があったの、知っているか?】 「なんとなく聞いた事がある」 そういえばそんなニュースを見た気がする 【それ以降男だけが見るらしいが、夢を見るらしい…お前が話した内容の夢を…】 「夢を見た奴は…どうなる…」 【消えてしまうらしい…ただいつどのようにっていう、ことはまだ解らない…】 「それは…誰に聞いた」 俺は、普通なら笑い飛ばせるようなこの話しを、信じていた…どっか心の中で夢だけで終りはしない気がしていたからだ 【その話しには続きがあって助かった奴がいる】 「何処にいるのか知っているのか?」 【お前も知っている奴だ…賢治だよ】 賢治…高校の時の友達だ、高校を卒業してから一度も会った記憶はなかった
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