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外は、無機質なコンクリート群やスモッグのせいで決していい空気とは言えないが、教室の空気よりかは幾分かマシだった。
「はぁ…」
また大きなため息をつく。
レイは、俗に言う天才というやつで、IQは230を軽く超えていた。両親はどちらも学者で、父も母もやはり天才だった。文明の再興に関して多大な貢献をなし得た両親の遺伝子を、素直に受け継いでいるのだろう。
レイは今、私立の進学校に籍を置いている。大学への飛び級の話ももちろんあったのだが、どうせそこでも学ぶものは無い…と、取りあえずこの高校に入学した。全ての授業がレイにとってはただの常識で、刺激的なものは何もなかった。
「クウェイに来てもう三年かぁ…」
実家はもっと田舎の町なのだか、今は寮で暮らしている。もちろん特待で入学しているため、学費・寮費共に免除という事になっている。
実家の近くにも進学校はあったが、ある事件が起こった為、叔母さんが住むこのクウェイ自治区に引っ越したのだ。
レイはしばらく街をふらつく。その足は自然と自分の住む寮に向かっていた。寮といっても、アパートをそのまま寮にしており、寮母等の監視もなく自由に暮らせる。名門私立校のウリの一つでもあった。
比較的人通りの少ない路地を通る。雑踏があまり好きではないレイが自分で見つけたルートだ。いつも見かける猫がいないのが気にはなったが、そのままアパートへ向かった。
ふと、路地の途中で足を止める。
「アリス…?」
そこには少し古い感じの喫茶店があった。いつも通る道なのだが、普段何も考えてないせいで気づかなかったのだろう。少しお洒落な雰囲気に魅せられたレイは、気づいたらふらっと店の扉を開けていた。
ー……カランカラン!
「いらっしゃいませ」
感じの良いマスターが迎えてくれた。レイは軽く会釈し、窓際の席へ。テーブルにはピンク色の可愛い花が飾られていた。名前は知らない。
「綺麗だな…」
しばらく見とれてボー…っとしていたのを、おしぼりと水を持ってきたマスターにさえぎられた。
「決まりましたら、呼んでください」
メニューを置いて去る。別にお腹が空いているわけでもなかったレイは、紅茶だけを頼んで、また窓から外を眺めていた。
窓からは小さな庭が見える。綺麗に手入れされており、様々な花が植えられていた。いくつかは枯れていたが、それでも全体の雰囲気を壊すことなく、静かに同居している。
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