1200

5/7
前へ
/109ページ
次へ
リーは、違いない…と笑った。 「まあ何かあったら連絡してくれ。2人とも気をつけろよ。最近街は物騒だ」 リーは煙草を消して、2人に注意を促した。 「物騒なのは今にはじまった事じゃあないぜ?」 「心配するな、リー。これでも9000人近くいるデスペラードの中で特S級張ってんだからよ」 シンとダンは、リーに笑いかけた。 「そうだったな」 リーはそう言うと、夜の街に姿を消した。ディナ自治区と呼ばれるこの辺りは、夜の繁華街も栄えている。その分犯罪が他の自治区より群を抜いて多いのだ。 「さて…」 多彩なLEDや3Dホログラムの看板が賑やかな街。それが持つ二面性を熟知しながら、敢えてそれに気づかぬかのように、シンとダンも夜の街に消えていったー……。 起きろー…と声は聞こえてはいたが、シンはそれをシカトし寝続けようとしていた。その内声もしなくなり、諦めたのかとホッとした刹那… ー…ゴッッ!! 額に激痛が走った。それが銃のグリップでの衝撃と気づくのには時間がかかった。 「何時だと思ってんだ?」 ダンは、悶絶するシンを半ば呆れ顔で見据え、そう言った。 「だいたい飲み過ぎなんだよ。お前二日酔いだろ」 シンを殴り起こした銃をホルスターにしまい、カーテンを開ける。 「う…うるせぇよ」 シンを、殴られた額と二日酔いの頭痛が襲う。午後2時。昼間の日差しが余計にシンをイライラさせた。その足でキッチンに向かい、蛇口をひねる。勢いよく流れ出した水に頭を突っ込み、目と酔いを醒ますシン。 「お前も俺と同じくらい飲んだろ…?何でケロッとしてるんだよ…」 「お前とは鍛え方が違うんだ」 ダンはシンの問いにあっさり答え、パソコンの電源を入れる。シンはタオルで長い髪を拭きながら、ダンの真向かいに座った。 「だいたいいつも起こさないだろ…何かあったのか?」 煙草に火をつけ、ダンに問う。 「ちょっと面白いモンがな…」 ダンはそう言うと、パソコンをシンの方に向けた。 「なんだ…いつものデスペラード専用賞金サイトじゃねぇかー…」 デスペラード専用賞金サイト…通称B.S.Dとは、各自治区の公安局が運営する情報サイトで、一般人は見ることが出来ない。デスペラードとして登録されている者のみ閲覧可能なサイトだ。そこには数々の賞金首の顔・犯罪歴・身体的なプロフィール・危険度、そして公安局から割り当てられた賞金額が書かれてある。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

690人が本棚に入れています
本棚に追加