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リーは、違いない…と笑った。
「まあ何かあったら連絡してくれ。2人とも気をつけろよ。最近街は物騒だ」
リーは煙草を消して、2人に注意を促した。
「物騒なのは今にはじまった事じゃあないぜ?」
「心配するな、リー。これでも9000人近くいるデスペラードの中で特S級張ってんだからよ」
シンとダンは、リーに笑いかけた。
「そうだったな」
リーはそう言うと、夜の街に姿を消した。ディナ自治区と呼ばれるこの辺りは、夜の繁華街も栄えている。その分犯罪が他の自治区より群を抜いて多いのだ。
「さて…」
多彩なLEDや3Dホログラムの看板が賑やかな街。それが持つ二面性を熟知しながら、敢えてそれに気づかぬかのように、シンとダンも夜の街に消えていったー……。
起きろー…と声は聞こえてはいたが、シンはそれをシカトし寝続けようとしていた。その内声もしなくなり、諦めたのかとホッとした刹那…
ー…ゴッッ!!
額に激痛が走った。それが銃のグリップでの衝撃と気づくのには時間がかかった。
「何時だと思ってんだ?」
ダンは、悶絶するシンを半ば呆れ顔で見据え、そう言った。
「だいたい飲み過ぎなんだよ。お前二日酔いだろ」
シンを殴り起こした銃をホルスターにしまい、カーテンを開ける。
「う…うるせぇよ」
シンを、殴られた額と二日酔いの頭痛が襲う。午後2時。昼間の日差しが余計にシンをイライラさせた。その足でキッチンに向かい、蛇口をひねる。勢いよく流れ出した水に頭を突っ込み、目と酔いを醒ますシン。
「お前も俺と同じくらい飲んだろ…?何でケロッとしてるんだよ…」
「お前とは鍛え方が違うんだ」
ダンはシンの問いにあっさり答え、パソコンの電源を入れる。シンはタオルで長い髪を拭きながら、ダンの真向かいに座った。
「だいたいいつも起こさないだろ…何かあったのか?」
煙草に火をつけ、ダンに問う。
「ちょっと面白いモンがな…」
ダンはそう言うと、パソコンをシンの方に向けた。
「なんだ…いつものデスペラード専用賞金サイトじゃねぇかー…」
デスペラード専用賞金サイト…通称B.S.Dとは、各自治区の公安局が運営する情報サイトで、一般人は見ることが出来ない。デスペラードとして登録されている者のみ閲覧可能なサイトだ。そこには数々の賞金首の顔・犯罪歴・身体的なプロフィール・危険度、そして公安局から割り当てられた賞金額が書かれてある。
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