1200

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「クウェイ自治区のリンクに飛んで、サーマスって野郎を見てみな」 ダンがニヤニヤしているのを不快には感じたが、気にせず言う通りに見てみることにした。 「サーマス=ロイ……」 やや黒みを帯びた肌と目、髪も黒く、冷たい感じの男だった。賞金額は…… 「1200万!?」 ダンも喜んでいた。久々の大物だ。 「………まてよ…」 シンはある事に気づいた。ダンもそれに早く触れて欲しかったらしく、満足げに煙草に火をつけた。 「窃盗…?」 シンは怪訝な顔でダンを見た。 「俺もそこが気になってな…。1200万ガルもの大金がかけられちゃいるが、危険度もA~Fの6段階のうち"E"と低い。昨日の奴らと変わらん。罪名も窃盗と、まぁかわいいもんだ…」 「にもかかわらず…金額は"B"クラスの首同等…か…」 シンの口元に笑みがこぼれた。こいつは裏に何かある…そう思えたからだ。ダンはその笑みを見て、面白そうだろ…とシンの肩を叩いた。 「もし本当に"E"クラスなら楽に大金稼げるし、そうじゃなけりゃあ…それはそれで楽しめるってもんだ」 2人は地下に降りた。アパートの一室を買い取り、勝手に作った地下室を武器庫代わりにしている。中は無造作に銃が置かれていた。そこからそれぞれ銃を選び、ホルスターへ差す。…といっても、いつも使う銃は決まっているのだがー…。 防弾チョッキを着込み、マガジンをいくつか収納できるジャケットを羽織る。ダンは自慢の銀髪にクシを通していた。無精髭はそのままだ。シンはダンの後ろから鏡を使い、長い髪を束ねる。 「髪…切らねェのか…?」 ダンがシンに問う。 「染めねェのか?黒に…」 お互いほっとけと、鼻で笑った。 シンはイスに腰掛け、銃を眺める。 「さて…」 ダンも準備が整ったようだ。 「クウェイ自治区まで二日ってところか…」 シンが呟く。 「俺はクウェイ自治区に行く前に、ザザ自治区にいってみる」 ダンは壁により掛かりそう言った。 「ザザ?また遠いな…」 「あぁ。ゾットの爺さんとこだ」 ゾットとは、ダンがシンとコンビを組む前から知っている情報屋だ。もう70歳近いのではないだろうか。 「あぁ、ゾット…。しかしあのジジィ、役に立つのか?」 「意外とマニアなネタ持ってんだよ」 ダンは笑った。 「クウェイにはいつ来る?」 「まぁ…1週間…てとこだな」 壁から離れ、煙草に火をつけると、重くくゆる煙を深く吐いた。
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