かけがえのないもの

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小さな体で産まれた女の子 名前は“りんか”とつけた そーちゃん、それはあなたにとっては少し辛い名前かもしれない もちろん‥私にとっても辛く忘れたい名前でもある だけど忘れちゃいけないんだ 決して忘れてはいけない 過去は消さない 消したい過去だからこそ 忘れたくはない そう‥ 私が風俗嬢だったこと そして、私をスカウトしたのがあなただったこと もう一度言います 私は風俗嬢でした そして‥私をスカウトしたあなたに恋をしたこと そして‥風俗嬢だった私に恋をしたあなたがいたこと ごめんね?りんか? あなたには迷惑な話かもしれない だけどお母さんは この命を失くしてでも あなたを大切にするよ 命ある限りあなたを、守りぬくことを誓うよ 偽りはないよ それだけの思いを込めて あなたにつけた名前だから‥ 今まで失ってきた物もたくさんあった だって失うことを‥怖いと思ったことはなかったから‥ でも、今は、こんなにも大切な、かけがえのないあなたたちを目の前にして 失うということを想像するだけで体が震える りんか? そーちゃん? 私には、もう‥ あなたたちがいない生活なんて考えられない 今、私の隣でスヤスヤ眠るあなた達を見つめながら そう心に深く刻んだ
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