僕はセミ。

終わる直前に始まった。

僕はセミ。

長い間土の中で眠ってた。
大人になることを夢見て

たった一週間しか生きられない僕。

それでも、僕は大人になることを選んだ。

「みーん、みんみん、みーん」

大人になって初めて見た景色は灰色。

僕が大人になった所は
たくさんのビルがひしめく場所だった。

「あぁ、つまらない。」
大人になることをあれほど心待ちにしていたはずなのに

いざ大人になっても
土の中で眠っていた生活と変わらない。

生きていた証としてこの胸を震わせ鳴いても

「うるせぇ」の一言で終わってしまう。

「あぁ、実に暇だ。」
大人になって、今日で7日目
僕は今日、きっと死ぬ。

こんなつまらないことしか記憶しないで
僕は朽ちていくのだろうか。