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「そうだよね、生きてるんだもんね」
女の子は笑って僕に話しかける。
端から見れば、彼女は虫なんかに話しかける変な子だ。
そんなことも気にせず、女の子は僕に笑って話しかけてくれた。
「セミの命は短いんだよね。
だからセミは鳴くんだよね。
生きていたということを
誰かに知っていて欲しいから」
人間だって、同じなんだよ。
そう笑った女の子。
なぜだか凄く悲しそうに見えた。
きっと僕は、
そんな女の子に恋をした。
それは、
僕がこの世に大人として生まれてから七日目の出来事。
終わるはずの僕の人生が
今、始まったように、思えた。
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