一章 思い出

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しかし。 目を伏せ、うなだれるマイスを見て、ダリアは優しく言葉を続ける。 「違うよ、マイスくん。マイスくんがモンスターだとか、そんな事は全然怖くないわ。」 マイスの心を読んだかのように、微笑みながら否定する。 「え……それじゃ……?」 「……わたし、ずるいよね。マイスくんに種族なんて気にする必要ないなんて言っておいて……。 …わたし、本当は自分がエルフである事が怖いの。」 今度はダリアが何かを決心したようだった。 「どうしてですか?みんな、祝福してくれたじゃないですか?」 「それも違うの。 大丈夫、みんなの事はわたし、信じてるから。わたしが怖いのは、とても自分勝手なこと。」
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