一章 思い出

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「……わたし、ずっと怖かった。暗くて、何も見えないし、自分がどこにいるのかわからなかった。 ──でも、マイスくんの声はずっと聞こえてた。何でだろう? これが、愛?なんて。」 頬を少し赤らめながら悪戯っぽく笑うダリア。マイスの反応を見ているらしい。 しかしそれを聞いたマイスは、 「…愛です。」 躊躇いもなく、はっきりと言い放った。 「えぇーっ!ちょ、ちょっと!真顔で言う!?」 一瞬の硬直の後、耳の端まで真っ赤になりながら半ば叫ぶように喋るダリア。 「ええ…僕はそう思っていますから。」 にこりと、微笑みながら返すマイス。 「………少し、かっこいいじゃない。助手のくせに……。」 しばらく沈黙が続く。 流れる滝の音だけが、二人だけの空間を支配する。 「……一つ、聞かせてくださいダリアさん。」 その沈黙を破ったのはマイスだった。
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