【現実という名の結論】

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【現実という名の結論】

懲役は刑務所に入ったがために社会的な応用が効かなくなる。 現実的に何年かの空白が生じる訳だ。 昔は10年1昔と言ったが今は1年1昔だ。 俺は娑婆に出てきてビビった。 煙草の値上げやパッケージが変わったことに地元の変化に友人の変化に札の変化に携帯の変化………カルチャーショックだ。 かなり対応するのが難しい。 出てきてからしなきゃならない事も沢山ある。 銀行のカードに住民票の移動に年金に保険証の発行。 一番に住民票だ。 元々住民票がある地元に住民票を取りに帰り現住所最寄りの市役所で住民票の移動をする。 地元が遠ければ電話で問い合わせて郵送して貰うしかない。 次は保険証の発行と年金だ。 保険証は直ぐ発行してもらえるが未納分の年金と保険料の免除申請をしなければいけない。 若いやつなら免除されても追納でなんとか年金支給額をあげる事が出来るが年輩の方は辛い。 年齢的に仕事につくのが難しいので年金に頼らざるをえない。 しかし未納分を払わなければ年金は支給されない。 先々一年の残りの年金が払えず年金が受けとれない人は腐る程いた。 こういう人には施設の助けが必要なのに施設は何もしない。 コレが現実だ。 年金未納分を払うため犯罪に又手を出す人も少なからずいる。 全額免除されれば年金は支給されるが納めていない分だけ支給額はカットされる。 こういう所を見ると社会は人間に冷たい。 しかも追納は二年前位までしか遡れない。 ……保険証が手に入れば身分証明が出来る。ここで初めて仕事の面接にいける訳だが銀行に口座が無ければ給料も振り込まれない。 銀行のカードの発行には一週間かかる。 履歴書も問題だが何より連絡先を作るため携帯を持たなければならない。 イコール一ヶ月で安定収入を得なければヤバいということだ。 俺は三週間でそれらを全てクリアしたから良いものの施設には時間の縛りがあるため日中の仕事しか選べない。 施設にいれる期間に表上制限は無いが三ヶ月が目処だ。 施設は酷い。 三ヶ月で一人暮らしの資金を貯めろなんてかなりキツイ。 ゼロからスタートするんだからはっきりいってキツイ。 服もないような人間しか施設にこない訳だ……あまりに酷い。 俺はギリギリどうにかなったが無断退所したり追い出されたり刑務所に逆戻りさせられている人間も少なからずいた。
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