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―ザー―『また…血の雨か、いつになったら普通の雨が降るんだろう…』
―此処は名前の無い、鬼の國―
『どうして、私は‘鬼’なんだろう』
―当然その質問に応える者は居ない―
『人間が…よかったな…』
「水葉、仕事だ」
『わかった…』
今日は、何人斬るんだろう、いい加減嫌になってきた、これが終わったら…私の事を誰も知らない土地に行こう…
この力を活かせて、生きて行けるところへ
鬼鬼と、一緒に…
「はやくしろよ」
『わかってる、行ってきます』
『鬼鬼、着いて来てくれる?』
「にゃあ」
なんて言ってるんだろう、でもきっと…‘うん’って言ってる
『ありがとう、鬼鬼』
―ザッザッザッ―
―ブシャァァ―
『さてと、鬼鬼…行こうか?人が居る前で喋ったら駄目だからね』
「わかってる」
猫の姿をしていても…鬼鬼は鬼なんだ、私と同じ
『この力を活かすことのできる所、か…』
「あそこは?」
『そうしようか、猫モードで』
「ニャ」
『さてと行こう』
歩き出す、目的地は…京、時代は…幕末
『我が右手は全ての鍵、我が左手は全ての門、解錠』 ―ギィ―
扉が開く、鈍い音を立てて…
『…っ』
「どうした?水葉」
『なんでも無いよ、入ろう』
そしてまた歩き出す
―ザッザッザッ―
この日、鬼の國から一人の少女が消えた
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