1人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「……どう、されますか?」
「どうって、どうにかなるもんでのないんだろ、先生」
だいぶ前からあった胸部の違和感。検査の結果はクロ ―― 肺がん。それもありがたいことにステージ4だ。
「痛むでしょう、かなり」
「まあまあ……だね。3辛ぐれえかな、ココイチでいうところの」
「抗がん剤、使いますか」
「考えとくよ」
「脳と骨の検査、しましょう」
「それも考えとく」
肺がんは転移しやすい。おそらく身体のいたるところで増殖しまくっているに違いない。
「どれくらいだい? あと」
「……半年。頑張れば」
「頑張らないと?」
「ひと月かふた月」
「頑張りますよ。なるべく」
もしものときでも周囲に事実は話すまいと決めていた。そのほうがきっと互いに気遣いがなくていいと思ったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!