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 病院からアジトまでの道すがら、頑張らない決断を自らに下す。その証としてこの街ではいけないとされている歩きタバコを決行した。  そいつを対面方向からチャリンコでやってきた二人組みの制服警官に咎められ、職務質問へとなだれ込む。  割りと穏やかなやり取りが進む中、突如として気色ばむ若いほうの制服。 「これは?」 「……薬、だな」 「睡眠薬だろう、これ。あとこっちはアレじゃないか」  鞄の底になぜかハルシオンとバイアグラ ―― 鶏は問答無用で連行され、時計の針が天辺を指すまで搾られた。  空いていた少年房で一宿二飯を世話になり、明くる午前中にあっけらかんとパイになる。  携帯やら財布やらなんやらの返還を待つ間、鶏は小雪舞う街の様子を曇ったガラス越しに眺めた。  通りを挟んだ商店街の街灯に撒きつけられたイルミネーション。その脇で竹箒を使って雪を掃いている初老の男。サンタのコスチュームに身を包んだ若い女にチラシを手渡されているサラリーマン。身体を寄せ合って歩くカップルたち。傘の上に降り積もった雪を派手にバサバサやっている小太りした中年女。  どこからともなく聞こえてくる鐘の音色がクリスマス情緒を更に煽り立てる ―― ロマンティックなムードに沸いている市井の人々が目に煩わしかった。
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