1人が本棚に入れています
本棚に追加
踵で念入りに携帯を踏み拉きながらタバコを口に挿んだ。使い捨てライターの炎が予想外の高さまで伸びてきてチリッと前髪を焼かれる。仰け反ると同時に雪に足を取られてバランスを崩した ―― みっともない動作で空を切る手足。
転ぶまいと必死に背泳ぎのような格好で踊るも、その甲斐なく路面に尻を突く。
強か腰を打ち、すぐに立ち上がれないでいると後ろでダンッダンッ、という音がした。そのままの体勢で音が聞こえた方向へ身体を捩る。
土砂を山盛り積んだダンプに轢殺された残骸 ―― 鶏の財布。
這うようにしてそれに近づき、恐る恐る中を開く ―― カードの類と護符がすべて割れるか折れるかしていた。
最初のコメントを投稿しよう!