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ある意味で恐怖体験をさせてくれたちはやの腕から安定感のある地面に降りると一気に肩から力が抜けた。
岩をひょいひょいと登ってきた彼は、おもむろに私を抱えたかと思ったら、躊躇いなく飛び降りやがったのだ。助けられたのは有り難いが、しがみついてしまった自分が恥ずかしい。
「教室、戻らなかったのか?」
「卯月先生がいつまでも降りてこないので、観察しちゃいました。」
足元で死角になって見えなかったんですね。なんて言って笑われたらなにも言えない。一番星が見えはじめた空の下、木々に囲まれてあたりは薄暗い。当たり前のようにちはやは歩く速度をあわせてついてきた。
仮にも戦闘を教える教師にむかって、女性の一人歩きは危険だ。とか言われるが、まぁ…たまにはいいかもしれない。
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