アフタヌーンティー

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ベリーローズ姉妹が今日も今日とて中庭でアフタヌーンティーを楽しんでいた。と、言ってもラズルは相も変わらずオーブンと睨めっこをしながら下僕(フラン)をこき使っていて、優雅に紅茶を楽しんでいるのはクランだけだ。  「久しいな。」 勝手に向かいの椅子に座るが、クランはとくに何も言わずに紅茶をすする。テーブルの上には、すべて混ぜ合わせたらクランの体の倍はありそうな量のお菓子たち。 「お土産はありますの?」 「当たり前だろ。ただでは流石に食べないよ。」 片手に持っていた小さな紙袋をテーブルに置くと、硬い音が控えめに響く。 「最近気に入ってる紅茶。キャンディなら飲めるだろ?ラズルに紅茶ジャムを作らせてもいいかもな。レシピは入ってる。」 そこでやっとクランからケーキを勧められる。ラズルはと言えば、作る量が増えることを考えているのだろう。げんなりした顔で肩を落として言った。 「……もうケーキで崖を作る食べ方はしないでくれ。雪崩るから。」
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