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千鶴は昼食の後片付けも終わり、自分の部屋に足を向けた。
自分の部屋の前の廊下に差し掛かると、総司が廊下に座り込んでいるのが見えた。
何とも言えない切なげな表情。
春の暖かな風が髪を靡かせ、とても綺麗だった。
暫くすると総司は千鶴に気付き、声を掛けて来た。
「千鶴ちゃん…?」
見とれていた千鶴は総司の突然の呼び声にびっくりした。
「何、どうしたの?」
「あ、あのっ…えっと…」
見とれてましたなんて恥ずかしくて言葉にするなんて事は出来なかった。
どうしようかとあたふたしている千鶴に総司は気付いたように腰を上げた。
「ごめん、部屋に入りたいんだよね?桜が綺麗だったからつい見とれちゃって」
そう言ってにっこりと笑うと、その場から離れようとした。
そんな総司を千鶴は引き留めた。
総司は目を少し見開いて驚いていた。
「あの、桜…一緒に見ても良いですか?」
そんな言葉を掛けると、またにっこりと笑った。
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