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「うん…良いよ」
総司の何処か照れたような表情に千鶴は可愛いと思ってしまった。
総司と千鶴は並んで桜を眺めた。
「お茶でも持って来ましょうか?」
「僕は良いよ…」
総司の瞳は桜だけを映していた。
先程の何処か切ないような寂しそうな表情に戻っていた。
「何で、桜を見てたんですか?」
「それはさっき言ったよね?綺麗だから」
「それだけじゃ…ないですよね?」
そう言うと総司は軽く溜め息を吐いて、視線を千鶴に向けた。
「君には敵わないな」
泣きそうな顔で千鶴に弱味を見せた。
そして自分の思っていた事を口に出した。
「桜ってさ、凄く綺麗だけど…すぐ儚く散っていくでしょ?それが…なんだか労咳になってから居場所がなくっていく僕みたい…ってそう思っただけ」
「そんな事ないです!沖田さんの居場所はここにちゃんとあるじゃないですか?!沖田さんが望む限り、ずっとここに!」
声を荒げ、ぶつけるように総司に言った。
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