第六話

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……まあ、怒りに任せて本気でぶつけてくるもんだから、体の方はボロボロのガタガタなわけですが;。 『そもそも、ソイツの能力は無敵すぎると思うんだが、わざわざ私に弟子入りする必要はなかったんじゃないのか?』 『いやいや、こうして技を習得させてもらうためですから、十分助かってますよ。……で、あの…そろそろキティちゃんって呼んじゃ駄目ですか?エヴァンジェリンさんって、長くて呼びにくいんですが……』 『断わる!大体、何故キティなのかがわからん。宮内は某テーマパークに喧嘩を売りたいのか?』 『え、だってエヴァンジェリンさんってあなた…なんとかキティマクダウェルって名前ですよね?だから、呼びやすいようにキティちゃんなんです』 『…とりあえず、私にそんな可愛らしいニックネームはあわん。だから却下だ』 『そうですか……では、何かかっこいいニックネームを次回までに考えておきます!』 『……あてにしないで待っておくとしよう。さ、休憩はこの辺りでいいだろう、続きを始めるぞ!』 『はい!』 『………奥の部屋に向かってから随分経ちますが、桜空さんたちは何をしてるんでしょう?…流石に寝巻きひとつで来るのは無謀でしたね』 ブルッと、ひんやりとした外気に当たっている体を震わせながら、夕映は一人呟いた。 結局、今回分かったことといえば桜空がエヴァンジェリンに何らかの理由で弟子入りを申し込み、彼女もそれを認めた、ということくらいである。 『とどのつまり、桜空さんがどんな目的で行動しているのかがいまいちピンとこないですね。……長引きそうですし、ひとまず帰るです。……………もるです』 このままいてもらちが空かないと思ったのか、はたまたただトイレにいきたくなったのか、夕映は結局桜空に会うことなく寮に戻った。 ―――翌日、外気にさらされ続けたせいかして夕映は見事に風邪を引いてしまいました。 『大丈夫?ゆえ…』 『大丈夫ですよのどか、少し寝てればすぐ治るです』 『だからいったじゃないの、風邪引くから、お腹だして眠っちゃダメだって』 『失礼ですねハルナ、私はちゃんと寝てたですよ。昨日は特別寒かったから、風邪を貰っただけなのです。……そう思いますよね?桜空さんも』 『ふぇ…!?あ、うん……そう、だねぇ……;』 いきなり話を振られて少し戸惑いながらも、まさかなぁ……と心当たりのある桜空であった。
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