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永遠から卵をひったくる様に受けとると、結音は少し離れた自分の席に座った。
卵を抱えてブツブツと文句を言っている。
そんな結音を見ながら永遠は「胎教(?)に悪いんじゃないか」とか思ってみたりする。
そして、ふと。
さっき見た妙な体験からすると、結音は一冊の教科書を家に忘れている。
「……」
まさかとは思うが、永遠は興味本意も手伝って結音に聞いてみることにする。
「なあ、結音」
少し結音の方に身を乗り出して声をかけた。
さっきのことが手伝って結音は若干機嫌が悪い。
「何?」
ブスッ、としながら結音は返事をした。
とりあえず結音の機嫌の云々はどうでもいい。
己の今一番の興味を永遠はぶつけることにした。
「理科の教科書持ってきた?」
「ほほーう。つまりあれか、永遠くんの見た……何? 過去夢? 的な何かで結音っちょの忘れ物を見事にずばっとまるっと。お見通しだ! と?」
「…パクリ止めなよ。通報するよ」
昼休み、楽しい食事の時間。
一年生の教室に押し掛けて結音と永遠と一緒にお昼を食べる二年の先輩女子二人は漫才しながら状況を口にした。
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