9人が本棚に入れています
本棚に追加
緑色の髪の先輩、小日向 千冬。
同じく緑色の髪の先輩、氷室 千榛。
漫才コンビのような二人は顔が全く同じ。
身長も体重も、声音だって同じ。
ここまで来ると双子じゃないのかと疑いたくもなるが、残念ながら血縁関係はない。
生き別れの双子説はすっぱりと否定されたのはまだ記憶に新しい。
見分けるのが難しいと思われたが、幸い性格が全く違うから見分けるのがそう苦にはならない。
大雑把に言ってしまえば、千冬がボケで千榛がツッコミと言ったところ。
たまに逆転するときがあるが、静と動なのでやっぱりわかりやすい。
「通報!? 通報ってあれか! 警察か!」
「んなわけないじゃん。警察に失礼だしそんな手間かかせることさせらんない」
「んじゃどこにさ?」
箸を右手に椅子の上に立ち上がる千冬をちらりと見上げて、そしてあきれて目を反らした後に千榛は言った。
水筒のコップを両手で包んで。
「保健所」
と。
「……ほ、けん……? じょ……―――貴様千榛ぅうううぅぅう!」
僅かの間で言葉の意味を把握し、騒ぎ始める千冬。
しかしそれを華麗なまでに無視して千榛はお茶を啜った。
最初のコメントを投稿しよう!