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「山籠り」 『―――はい?』  千冬の言葉を瞬間、結音と永遠は言葉を失った。  あまりにアホすぎて……もとい、あまりに想像のつかなかったことに驚いた。  そもそも山に囲まれたようなこの地で山籠りと言うのはどんな冗談で、どんなウケ狙いなのだろうか。  永遠が鞄に弁当箱を入れながらもう一度千冬に聞いた。 「山籠り、ですか?」 「うん、山籠り」  にっこり笑って千冬はもう一度頷いた。  どうやら本当らしい。  千冬は嘘をつく時はこんな風ににこやかに笑ったりしない。 「うん。うちのクラスになかなか勝てないからって、担任のブス崎がブス村とブス山とブス谷を連れて」 「……先輩、毎回ボッコボコにしてましたもんね」  説明をした千冬に永遠は苦笑しながら頷いた。  二年H組は武道派クラス。  千冬と千榛に加えて後女子生徒が一人と男子生徒が一人。  女子生徒は剣道の腕が素晴らしく秀でていて、男子生徒は忍者の末裔とかで身軽さはピカ一。  剣道云々は納得できるが忍者の件はどうだろうと永遠は思う。  が、二年生がやたら強いと言う事実は変わらない。
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