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「ですよねぇ、三年生はいつも千冬先輩たちに負けっぱな」 『ああああああああ! 三年共めがああああああああ!』  永遠が千冬に口を開こうとした時、その言葉は女生徒の叫びによって遮られた。  ドカン、と大きな音が校舎に響いた。  何事かと永遠の隣で結音が立ち上がろうとする。  驚く双子に対して、千榛が淡々と答えを言い放つ。 「ああ、円さんだ」 「三年生また仕事溜め込んでたなぁ」  千榛の結論に千冬が経緯を簡潔に付け加える。  基本的に学校の雑用は三年生の学級委員と二年生の学級委員が協力して行うもの。  しかし敵対こそしているが協力なんかはしたことがない犬猿の仲。  三年生が仕事を投げて二年生に押し付けるのもしばしば。  その度に二年生の学級委員は怒り狂うのだ。  それが三年生を負かすための最大の原動力になることも知らずに三年生は山籠りをしているが。  帰ってきたら地獄絵図は間違いない。
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