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結音はその方向を見る。
――カタカタ。
「……お?」
結音は首を傾げた。
「うっはあ、窓ガラス飛んだー」
「また窓ガラス割り記録更新だね」
少し首をかしげた結音に気付かず、千冬と千榛は教室から出て割れた窓ガラスの行方を見届けた。
バリン、と派手な音をたててガラスは散り散りに地に落ちていった。
名物、女剣士の暴走。
「……止めないんですか?」
永遠が恐る恐る千冬と千榛に聞いた。
が、
『やだ』
二人は即答した。
二人が嫌だ、と言うのだ。
永遠と結音が止められるハズがない。
こう言う場合、教師が止めに入りそうな物だが、一年のアホな担任と二年のやる気の欠片もない担任が職員室から飛び出てくることは考えられない。
いつものことだと慣れている二人とは違い、比較的まともな永遠は少し戸惑う。
「――ねぇ」
そんな時、結音が永遠の制服を引っ張った。
結音に制服を引っ張られた永遠は結音の方を向いた。
こんな時になんだ、と怒鳴るために。
「なにっ!? ゆ……ね?」
しかし振り向いた永遠が見た結音の顔は酷く困っていて、苦笑いだった。
結音は言った。
「卵……動いた」
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