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パリ、と言う音と共に欠けた結音の腕の中の卵。
小さく欠けた卵に結音の動揺は大きくなるばかりだった。
ついでに声も大きくなる。
「わあああああああ! 欠けた! 欠けたよ! 卵が欠けたああああああ! あの…なんかあれ? この小さな穴からこんにちは? こんにちは赤ちゃん私がマ」
「結音! 落ち着け結音! その穴から覗いても私がママよにはなれないから!」
卵を持って、しかし落とすまいとわたわたその場で慌てふためき、加えてぐるぐると回る結音に永遠は律義にツッコミをいれる。
加えて先程途切れた結音の歌の続きをしっかりと忘れずに。
ふむ、と千冬はそれに感心した。
「妹を落ち着かせるための言葉と、更に歌の続きを放置しないツッコミ…永遠君、末恐ろしい子」
「何を馬鹿なことを真面目な顔で言ってるの千冬。ツッコミ分析よりもやるべきことがあるはずだよ」
本人曰く真面目にツッコミ分析をしていた千冬だったが、千榛が見事なまでに千冬のその真面目さをへし折り、左手をごきっ、と鳴らした。
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