女王の、誕生。

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   気づくと、ヤツはフェンス越しの向かいのすぐそこまで迫ってきていた。 それを呆然と見つめるオレは、初めてその前髪の下に隠れた顔に気づいた。 息を飲む。 ……そこに立っていたのは、女と見まごうばかりの美少女、もとい少年だった。 「どうかした?」 「い…や、…何でもない」 腰までしかないフェンスのそば。手を伸ばせば届きそうな位置に彼はいて……。 その顔にオレは少し見とれてしまって……。 その瞬間、オレは完全に油断した。 サッと伸びてきた手はオレの腕を掴み、 気づいた時には、 オレは屋上の床に転がっていた。
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