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「留美って、本当にクールね。」
親友の夕子は、いつもそう言う。
親友にさえ、寂しいと言えない。
泣かないとクールだと思われる。
一人暮らしを始めて私は、毎日泣いていたのに、いつの間にか泣かなくなった。
正しく言えば、泣いても仕方がないと思った。
「ねぇ、留美~、今度さ、留美の家貸してよ。」
「何で?」
「ん、あのさ、浩太とやりたいんだけど、お互いラブホ行くお金もないしさ。ね?いいでしょう?」
「うん、いいよ。」
夕子は、ませている。
一人暮らしなら、好き勝手できるかも知れないけど、私は好き勝手する気も起きない。
それに、私は同級生や、年の近い男に興味はない。
なぜか、大人の男に惹かれる。
父の面影を探しているなんて、そんな風に思われるのは嫌だから、誰にも言わないでいる。
「留美って、本当男に興味ないよね。」
夕子にいつもそう言われるけど、でも、私はアパートの隣に住んでいる、4歳の子供を持ったバツイチの男に興味があるなんて、口が裂けても言えなかった。
そんな毎日の中で、私は過ごしている。
きっと大人になったら、過去を振り返って、笑える日が来るのだと信じている。
だから、私は生きる事をやめない。
それでも、今はとても寂しい。
一人ぼっちで居たくない、それだけは分かって欲しい。
大人だって、子供だって、人間なら誰もが、一人ぼっちは寂しいんだから・・・
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