一人ぼっち

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留美もいずれは、嫌でも大人になる。 大人になって子供を産んで、結婚して、幸せに暮らす。 そんな未来を描きながらも、今の留美の生活から想像する事は出来なかった。 学校へ向かう電車の中で、人と触れ合う瞬間が落ち着く。 「今朝痴漢にあっちゃってさ!」 いつも夕子はそう言うが、留美は痴漢にあった事は一度もない。 もしかすると、痴漢にあった事があるのかも知れないが、それに気付く事はない。 人間臭い車内で、生きているって実感が沸くのだ。 親に虐待されたわけでもない、死んでしまいたいほど、酷い人生でもない。 でも、寂しい。 そんな孤独が、人間臭さで消える気がするのだ。 最寄の駅で電車を降りると、改札口で夕子と浩太が待っていた。 「留美、おはよう!」 幸せな人間の笑顔は、なんて素敵なんだろう。 留美は、夕子のように笑って見たかった。 留美の笑顔は、いつもどこか作り物のような気がするのだ。 「夕子、浩太おはよう。」 合流すると、3人で学校へ向かう。 夕子と浩太の会話を、笑いながら聞いている留美。 でも、そんな会話の切れ端に、いつも両親の顔が浮かんでくる。 そして、悲しくなるのだ。 強くなりたい、こんな寂しさを打ち負かすぐらいの、強い女になりたい。 留美はそう願いながら、毎日を生きているのだ。
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