マリオネット

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足になにか違和感を感じて、マリオネットは薄く目を開けました。 すると目の前に自分より何倍、何十倍もでかい人間の顔が写りこみました。 その人間は中年の、爬虫類を連想させるような顔をした男でした。 それを見てぎょっとしたマリオネットは咄嗟に目を瞑りました。 それでも感じる足の違和感に、恐る恐る目を開け人間の顔を見ないようにして自分の足元を見てみました。 そして自分の足元を見たマリオネットは、一瞬の沈黙の後、声のない悲鳴をあげ、そのまま気絶してしまいました。 マリオネットが見たものとは、何時も通り自分の体の一部としてくっついている右足と、自分の体から完全に離れたところに置いてある、自分の左足『だった』ものでした。
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